こんにちは。株式会社ハイヤールー代表の葛岡です。毎週、失敗しないエンジニア採用についてオウンドメディアに記事を投稿しています。第九弾は優秀なエンジニアを採用する際に欠かせない選考手法の国内事例を、筆者の体験に基づき社内ノウハウ集よりご紹介します。
本記事では国内メガベンチャーであるDeNA(ディー・エヌ・エー)の選考事例について、筆者の実際の体験談をもとにご紹介します。これまでの記事で紹介したグローバルテック企業の選考手法とは異なる点が多数あり、国内企業ということもあり、参考にしやすいかと思います。
エンジニア採用に関わる人事の方、これからエンジニア組織を作っていく経営者の方などに参考となる記事になっていますので是非ご一読下さい。
(これまでの記事はコチラ👇)
- 第一弾: エンジニアレベルの定義について
- 第二弾: エンジニア採用媒体について
- 第三弾: 採用マーケティングについて
- 第四弾: 採用マーケティング事例
- 第五弾: タレントプール、DOs/DON’Ts
- 第六弾: 選考手法の紹介
- 第七弾: Google選考事例
- 第八弾: Facebook選考事例
DeNAの採用プロセス
DeNAのエンジニア採用プロセスは国内メガベンチャー等によくある形式で、技術力とカルチャー面をバランス良く評価した上、採用の合否が決まります。書類から始まり、役員・部長面接などで終わる一般的な採用プロセスと大きく変わらず、選考期間は約1ヶ月ほどとなっており、これまで紹介した国外テック企業と比較するとオファーまでの速度もかなり早いです(ビッグテックは3ヶ月程かかるケースも)。
特徴的なのは選考の際「ノックアウトファクター」というものが存在しており、これには例えばエンジニアにおいては、「チームとして開発ができる」や「受動的でなく能動的に動くことができる」といったものが存在しており、どんなに学歴・職歴が良くてもノックアウトファクターに挙げられている項目を一つでも満たさない場合採用されないようになっています。
採用プロセスは部署によって異なりますが、ここでは筆者が実際にDeNA入社時に受けた面接を※採用ノウハウ集より具体的にご紹介したいと思います。
※採用ノウハウ集とは弊社がプロダクト開発前に100社程を対象にエンジニア採用に関してヒアリングした結果と創業メンバーの実体験をもとに社内向けに書かれた約50ページほどのDocs (以下ノウハウ集抜粋)
エントリー
概要
Wantedly等の求人サイト経由で応募、またはエージェント経由でスカウトされエントリーが可能(知り合いがいる場合はリファラル制度もある)。応募の場合は人事の人が学歴・職歴等一般的な項目を確認後、技術的な文脈は現場のエンジニア等にも見てもらい次に進むか否か決める。人事の方が書類選考通過の判断をすることもあれば、エンジニアがポートフォリオや研究などをもとに判断をすることもある。
実体験
Wantedlyでモビリティー系のポジションに興味を持ち連絡。数日後Wantedly経由で連絡が返ってき、一度カジュアルにお話することに。
カジュアル面談
概要
オフィスに遊びに行き、現場のエンジニアと話をする機会。どういったことを開発しているのか、働く環境はどんなものか、どんな開発をさせてもらえるのか等を気軽に現場のエンジニアと話せる面談。特にカジュアル面談で不合格になることはないが、面談後希望であれば選考の案内を受ける流れ。
実体験
カジュアル面談はDeNAのオフィス(当時ヒカリエ)で、モビリティーの開発をしているエンジニア二名と1時間ほど会議室で話をした。当時スタートアップで開発をしていた自分からするとかなりギャップはあったものの、実際動いているプロジェクトや働く環境などざっくばらんにお話をさせていただいた。非常に興味が湧いたのでこの時点でやり取りしていた人事の方に選考に進みたい旨を伝えた。
技術面接
概要
採用されるポジションによって異なるが、アルゴリズム等一般的なものから、AIやデータサイエンティスト等専門知識が必要とされる問題などが出され、対面・非対面またはそれらのハイブリッドの形で1時間ほど技術的なディスカッションを行う。ソフトウェアエンジニアであれば実際のコードを書くような課題から、「秒間リクエスト10万のゲームサーバーをどのように設計しますか?」などの設計課題も存在する。面接官は現場のエンジニアで、採用された際に一緒に働くであろう人。
実体験
採用されるポジションによって異なるが、筆者はモビリティーとAIに興味があったため、AIのポジションに応募した。そのため、画像処理が専門分野のエンジニアと一時間オフィスで技術的なディスカッションを行った。最初の30分で与えられたお題を一人で解き、残りの30分で現場のエンジニアが会議室に現れ、解いたお題に関して説明をする流れの対話方式。
部長/役員面接
概要
採用される部署の部長、または役員と一時間ほど話す面接。この時点で大体の場合は採用は決まっているケースが多く、主に年収等の待遇面をアジャストするために行うのが一般的(もちろんカルチャー的にフィットしないと判断された場合は落ちる可能性もある)。特に技術的なディスカッションはなく、会社のカルチャーにマッチするかなどを行動面接に似た形式で評価する。
実体験
採用されるであろうAIの部署の部長と面接を行った。お互い自己紹介をしてから、一般的な「なぜディー・エヌ・エーに応募しようと思ったのですか?」といった質問等に解答し、これまでのキャリアなどを説明する一般的な※行動面接形式だった。技術的なディスカッションはまったくなく、パーソナリティなどを評価するような質問が多かった。
※行動面接とは仮説的ではない過去の行動に基づいたあるシチュエーションでどういった行動をとったかをもとに候補者のリーダーシップや行動力等を評価することが目的の面接:
オファー面談
概要
最終面接後、人事の人が結果を報告し、条件面や入社日などをすり合わせるために人事の方と行う30分ほどの面談。この時点で企業側からの内定は出ている状態であり、主に年収や、グレード等が書いたオファーレターをもとに説明を受ける。その場でサインするケースはあまりないが、オファーの期限などなども確認した上で後日メールなどで連絡する。
実体験
人事の方と30分、オファーレターに書いてある内容を確認し、気になるところや不明なところを確認した。年収とグレードなどが書いてあるオファーレターと、採用されるポジションに求められている期待値などを口頭で確認した上、人事の方と入社予定日などをいつにするかなどお話をした。
採用プロセスを振り返って
国外ビッグテック企業の一般的なエンジニア採用プロセスは技術面7割、カルチャー面3割程の比率で選考をするが、国内メガベンチャーであるDeNAはバランスが良く、5:5程の比率で技術力、カルチャー面共に評価をされた印象がありました。
また技術面談に関しても、国外テック企業では全ソフトウェアエンジニアに共通のデータ構造・アルゴリズムに関する知識等が一般的なのに対し、職種によって異なる課題を出している印象があり、一般的なソフトウェアエンジニアとしての素養より、実務においてのパフォーマンスをより重視し評価している印象がありました。
筆者がこれまで選考を受けてきた企業の中では、メルカリを除き(次回記事で選考プロセス紹介)、国内企業でよくある形式の選考プロセスということが言えます。リクルーターの方も候補者を不安にさせないように随時アップデートをくれたり非常に有意義な時間でした。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。本記事では採用プロセス編の記事として、DeNAの選考事例をまとめました。次回の記事では事例第四弾として国内企業であるメルカリの紹介を実際の筆者の体験に基づいてご紹介いたしますのでそちらも乞うご期待下さい。
また弊社ではビッグテックも実践しているライブコーディング等やオンラインでのアセスメントを自動化するコーディング試験サービス『HireRoo(ハイヤールー)』を提供しています。もし読者の方で「選考時に候補者の技術力を測れない」、「過去にミスマッチが起きて、もう絶対起こしたくない!」等の課題を持たれている方がおられましたら、お気軽にお問い合わせください。それではまた次回!
HireRoo | コーディング試験で防ぐエンジニア採用ミスマッチ