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失敗しないエンジニア採用その③:採用マーケティング手法

こんにちは。株式会社ハイヤールー代表の葛岡(@kkosukeee)です。毎週、失敗しないエンジニア採用についてオウンドメディアに記事を投稿しています。第三弾は母集団形成編その③で、5本立ての母集団形成編の内、採用マーケティングに焦点をあててお話します。

この記事では第一弾で定義されたエンジニアレベルをもとに書かれています。エンジニアレベルについて知りたい方はこちらのリンクより第一弾の記事をご一読ください。

エンジニア採用に関わる人事の方、これからエンジニア組織を作っていく経営者の方などに参考となる記事になっていますので是非ご一読下さい。

採用マーケティングとは

採用マーケティングとは企業が転職層、潜在層に何らかの施策を打ち、認知してもらうことで後に採用につなげることを目的とした活動です。前回の記事では採用媒体に関して説明しましたが、採用媒体への応募は候補者が動機づけされた状態で能動的に動きます。動機づけされる前段階で候補者は企業を何かしらの方法で認知しています。この認知の鍵を握るのが採用マーケティングであり、優秀なエンジニアの採用には欠かせません。

採用マーケティング手法

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図1: コストと速効性を軸にした手法の差別化マップ

採用マーケティングの手法にはお金のかかるものからお金のかからないものが存在しています(そういった観点からビジネスのマーケティングに近い事がわかります)。本記事では採用ノウハウ集より、どのような採用マーケティング手法があるか、どのエンジニアレベルに何が効果的かを一部抜粋し説明します(以後抜粋のため言い切り口調)。

コストの低い手法

テックブログ

自社でワードプレスなどを使い運用すれば良いため、お金はかかってもサーバー代レベル。ほとんどの会社がはてなブログなどを使っている印象がある。自社で使用している技術に関するブログなどを定期的に出すことで、プレゼンスの向上が期待できる。ある分野で尖ることで知名度が低いスタートアップでも優秀な層に認知してもらえる可能性がある。

ただし、いきなり効果を発揮することはほぼなく、地道に自社のエンジニアに協力してもらいながら記事を出していく必要があり、少し気の遠くなる作業になるが、徐々に効果を発揮する。実際弊社もテックブログを持っているが、弊社にWantedly経由で応募してくる人の中の多くがテックブログで技術スタックを知っていたりする。

また後述するが、L1, L2層のエンジニアは技術力を磨き上げたいため、会社のビジョンより、どの様な技術を使っているかを重視する傾向がある。そう言った時に「Golang Kubernetes gRPC」などと調べると国内の有名どころ(メルカリやWantedly辺り)のブログがヒットしたりし、そこから認知してもらえることがある。

テックブログ例

この中でもClassmethodはAWSに特化したブログ記事を多く書いており、AWS系の技術を調べるときに一度はテックブログに訪れたことがある人も読者に多いはず。私自身、Classmethodという会社を最初知らなかったが、テックブログから認知した一人である。

勉強会登壇

自社で主催するのではなく、他社が開催している勉強会に自社のエンジニアが参加し、登壇することでプレゼンスの向上を図る。自社で開催するとそれなりにお金がかかるが、他社に登壇者として参加するのには交通費くらいしかかからない。ほとんどの勉強会が「Golang勉強会」や「論文読み会」など参加者のセグメントが事前にわかるため、ブログと比較するとセグメントを絞れるのが利点。

ブログと比較し短期的な効果を期待できる点が利点である。なぜなら殆どの勉強会には懇親会があり、そこからカジュアル面談につながるケースなども多々あるため。もちろんSpeakerDeckなどに資料をアップロードして資産化することで、中長期的に効果を発揮することもある。

一つだけ気をつけたいのが、採用目的で参加し続けると煙たがられる可能性があること。あくまで勉強をするというのが参加者の目的であり、採用を積極的に行なっている層もいるが考えていない層も多いので、無理にアトラクトなどすると逆効果、または参加拒否になる可能性がある。

コストの高い手法

勉強会開催

前述した勉強会を自社が主催して開くこと(コロナ禍でオフラインでの勉強会は激減したが)。場所代に加え勉強会後の懇親会の食事代、準備(Compassに投稿等)などがかかるため、テックブログなどと比較して少しお金がかかる。自社オフィスで主催する場合はオフィスの雰囲気を感じたり、リクルーターの人が数名参加して名刺交換したり、そこから採用に繋がるケースがあるので効果的。

昨今コロナによりオフラインでの勉強会やイベントが激減したが、オンラインで継続的にやっている企業によると、懇親会がオフラインと比較するとどうしても盛り上がらなく、勉強会で参加者を集めにくくなったという声がある。それに対し、ビッグネーム同士や話題のスタートアップ同士で共同主催することで参加者を募る方法が多くなってきている。

メガベンチャーコラボ例

スタートアップコラボ例

カンファレンス主催

また勉強会より少し規模の大きいテックイベントの開催も非常に効果的だが、勉強会と比較して金銭面でのコストがかなり高い点と、準備がかなりかかるため(もちろん規模にもよる)、小さいスタートアップではなかなか開催しにくいのが現状。一方会社のテックブランディングという観点では一気に知名度向上や、採用母集団の獲得につながるので短期的な効果も望める。

以下にテックイベントの例を列挙する(開催している会社の属性から規模がある程度大きくないと厳しい事もわかる)。

カンファレンススポンサー

主要なところだとiOSDC、Rust Tokyo、RubyConfなど、界隈の著名人が集まるイベント等にてスポンサーをすることで、イベント期間に会社の紹介などをし、認知を集める方法。大規模のカンファレンスは前述したようなものがあるが、小中規模のものもある。スポンサーにはシルバー、ゴールド、プラチナのようにTierが別れており、上の方がお金がかかるがその分宣伝効果も大きい(会場で開催される場合は大きいブースが準備される等)。

自社で開催するのと比較し、準備や登壇者の手配等にかかるコストはなく、スポンサー代が主な出費になるが、カンファレンス参加者には界隈での著名人など、ターゲッティングがしやすく、自社の宣伝メッセージが届きやすい点が良い。ただ自社でカンファレンスを開催するよりかお金はかからないものの、スポンサー代もピンきりなのである程度の資本力が必要。より資本を投じられる企業がプラチナスポンサーなどにいる場合、どうしても影に隠れてしまうことはあるため、費用をかけるのであれば一番上のTierを目指すべき。

ここでもやはりペルソナが大事になってくる。例えば欲しいエンジニアがRustを書くエンジニアなのにiOSDCにスポンサーを出しても意味はないし、カンファレンスや勉強会のよいところはテックブログと比較しターゲッティングができることなので適切な層に刺さるようにアレンジする必要がある。CADDiのRust Tokyoでのスポンサーは事例で別途紹介するが、非常に効果的だったと言える(事実筆者周辺の優秀なRusterがどんどんJoinしている)。

カンファレンススポンサー例

その他

著名エンジニア採用

界隈で有名な人を採用したり技術顧問として迎え入れる戦略。メルカリが早い段階で著名なエンジニアである元Cyber Agentの名村さんやはてなのCTOであった@stanakaさんを採用したことで界隈で話題を作り、知名度を上げたりすることができた。また最近ではCADDiがばんくしさんを採用したり、Sansanが西場さんを採用していたりしたのが話題になっていた。

一気に話題を作ったり、注目を浴びる点では非常に効果的だが、もちろん著名エンジニアは色んな企業の引っ張りだこなわけで、採用戦争に勝つ必要がある。メルカリはわかり易い例だが、他社と比較しかなり高い報酬を提示したり、スタートアップだったらSOを付与したり、経営者がアトラクトに積極的に関与する必要があるため決してコストとしては安くないのが現実。

社内制度

〇〇採用などを謳い母集団への認知を図る方法。DeNAのKaggle制度などがこれに当たる。DeNAはわかり易い例だが、他にも勉強会参加支援や、技術本購入制度や、Udemy等の学習教材受け放題なども企業文化をアピールし、認知してもらうための制度として捉えられる。

社内制度は今後の採用に中長期的に関わることなので、即決はむずかしいく導入までに時間がかかるが、ターゲッティングした層へ有効な施策(Data Scientistが欲しいDeNAのKaggle制度等)は非常に有効的でうまく刺さればかなりの認知を広げることができる。

グレード別採用戦略

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図2: それぞれのレベルで効果的な手法が変わる

企業が求める層にリーチするためには、各グレードに対して適切な採用マーケティング手法を実践する必要があります。わかりやすい例で例えると、L4, L5層が欲しいのに対し、後述するL1~L3層に有効的とされる手法を実践しても媒体で説明した母集団形成がうまくできているという錯覚(応募数は増えるが採用につながらない)を起こすだけです。

以下にそれぞれのグレードの認知を獲得するにはどのような方法が効果的かを採用ノウハウ集より一部抜粋いたします(以後抜粋のため言い切り口調)。

L1~L3層向け

L1, L2のエンジニアは自分から能動的に採用市場にでてくる傾向がある。媒体としてはWantedly, Green等、スキル・年収アップを求めて積極的に採用活動を行う。事業への共感より、成長環境として適切か、採用されている技術が勉強・興味分野か等の軸で応募をする事が多い(中には必須要項を見ず、どんどん応募してくることがあるため、適切なスクリーニングが必要)。

能動的に採用市場に出るL1, L2の採用はそこまで難しくなく、様々な媒体を使い企業側も募集をかけることである程度の応募者数を稼ぐことができる。さらに募集の数を上げたい場合はとにかくエンジニアに認知してもらうように勉強会、テックブログなどを通して技術力のアピールをする。ブログや勉強会はL1, L2より採用市場に能動的に出ないL3層にも有効的で、理由は成長過程のエンジニアも多くいるからである。

技術系の勉強会に登壇、または主催することで認知をしてもらい、接点を持ち、カジュアル面談などを実施し更に興味を持ってもらう、これによりL1, L2と比較するとリードタイムは長くなるが徐々にL3の採用に繋がる。

L4, L5層向け

L4, L5はエンジニア採用市場にそもそもあまり出てこない。媒体としてはほぼ皆無に近いが、AtCoder、Kaggleなどといった競プロ系にコミットしていたりする。また大きなカンファレンス(iOSDCとかRuby Conferenceとか)にも登壇者として参加したりするので、お金を持っている企業はゴールド、プラチナスポンサーなどTop Tierになって知名度をあげて認知してもらう必要がある。

またこの層のエンジニアは優秀な仲間と仕事をしたい意欲が高く、社内に著名エンジニアが在籍している場合は積極的に著名エンジニアにアトラクト等に協力してもらうことが有効的だったりする。エンジニアレベルが上がれば上がるほど採用までのリードタイムが長くなるため、社内のアプローチリストなどもしっかり管理して人事とエンジニア全員が協力して採用に繋げる必要がある層。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。傾向としてはエンジニアレベルが高くなればなるほどお金のかかる手法が効果的です。逆に、エンジニアレベルが低いほど採用市場に出てきやすいため、媒体へのリスティング等で数が稼げる形になっています。これはL4, L5層を求め、エンジニア採用マーケティングに力を入れているDeNA(TechConという大規模なカンファレンスを毎年開催)やメルカリ(勉強会主催、カンファレンススポンサー等)といった企業が資本を投じて積極的という事実からもわかります。

エンジニア採用はビジネスと一緒で中長期線になります。そのためどの手法も即効性をもとめず、地道にコツコツこなしていくことが大事です。会社規模にもよりますが、まずはお金のかからないところからコツコツと、そしてビジネス同様にアクセルを踏むタイミングで思いっきり資本を投じて認知を稼ぐ、そういった戦術を考える必要があります。

次の記事ではエンジニア採用に成功している企業をいくつかピックアップし、本記事で紹介した手法をどのように実践しているかを詳しく見ていきます。また弊社では豊富なノウハウをもとに、採用ミスマッチを防ぐコーディング試験サービス『HireRoo(ハイヤールー)』を提供しています。もし読者の方で採用時に技術力が測定できない等の課題を持たれている方がおられましたら、お気軽にお問い合わせください。それではまた来週!

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